台風の発生場所からみる進路方向を解説

最終更新日 2019年10月21日 by contam

毎年夏から秋にかけて日本列島に大きな被害をもたらす「台風」。

昭和の時代には全国に甚大な被害を及ぼしたケースもありましたが、最近では地球温暖化の影響か、河川反乱や住宅浸水などが頻繁に発生するようになりました。

台風の発生場所は主に北大西洋上または南シナ海上で、海上に空気の渦が発生して渦の中心に向かい水蒸気を多く含む空気が流れ込むことで上昇気流が生まれ雲が作られます。

渦に沿って雲は大きく成長して積乱雲まで発達すると水蒸気が水の粒に変化しますが、その際に非常に多くの熱を放出するするため周囲の空気が暖められ、上昇気流が更に強まるという過程が繰り返されて、より大きな渦に変化して熱帯低気圧となります。

大きさはその繰り返しの回数によって異なりますが、海上近くでは反時計回りに中心に向かって空気を吹き込みながら上昇し、上層部で時計回りに変わり噴出することが特徴で、およそ15キロメートル以上の高さのものを一般的に台風と呼びます。

強さによって階級分けされており、最大風速が秒速33メートル以上44メートル未満を「強い」、秒速44メートル以上54メートル未満を「非常に強い」、秒速54メートル以上を「猛烈な」となり、中心部では周囲よりも気圧が低くなるため海面を押し下げ、中心付近の空気が海水を吸い上げるため高潮になります。

ここ30年近くの平均では、夏場を中心に年間で約30個前後が発生し、そのうちの約3分の1が日本から300キロメートル以内に接近していますが、発生場所からみる進路方向としては6月上旬は沖縄県をかすめながら中国大陸方向へ移動することが多いものの、6月後半から発生することが多い太平洋高気圧によって、高気圧の周りを回るように北や北東へ向きを変えるようになります。

特に7月から9月ごろまでは太平洋高気圧が日本周辺まで広がるため、7月にはフィリピン海から台湾を経由して朝鮮半島へ向かう進路を取るようになり、8月には沖縄から九州の西側を通り朝鮮半島をかすめながら日本海を進み、北海道方面にまで移動して温帯低気圧に変わるというケースが増えてきます。

9月になるとそのカーブは更に強くなり、同じ北大西洋もしくは南シナ海で発生直後に進路を北に取るため、四国沿岸の海上から紀伊半島付近で日本に上陸して関東まで進み、宮城県や岩手県付近から太平洋に抜けて温帯低気圧に変わるコースが多くなります。

このように日本に影響を及ぼすのは6月から9月くらいまでで、それ以降も台風自体は発生しているものの、張り出した太平洋高気圧によって発生直後に北東に進路を取るようになるため、太平洋上から北太平洋へと進み海上で温帯低気圧に変わることから日本を含めた国々への被害はほぼなくなります。

そして、太平洋高気圧が無くなる12月前後からは発生直後から西へ進むコースとなり、フィリピンを経由して中国大陸へ抜けるコースがメインとなる傾向にあります。

なお、台風が発生してから温帯低気圧に変わるまでの期間はここ30年の平均によると5.3日となっていますが、中には20日近くの勢力を保ったままゆっくりと進むものもありました。

長く勢力を保つものは8月に多く、更に不規則な進路を取る傾向にあるため被害状況も広範囲にわたるようになります。

また、温帯低気圧に変わっても油断は禁物です。

前線の北側は冷たい空気が下降して、南側の暖かい空気が上昇する対流現象が発生するため、前線の東側では雲が発生し雨や風が発生します。

温帯低気圧に変わると台風が消えたと思いがちですが、逆に雨や風が強まる場合もあるため、進路の方向に注意しながら生活圏が安全になるまで注意することが大切です。